【第5章】“板”と“出来高”で利確の質を上げる
結論:板(オーダーブック)=値段ごとの買い/売りの厚み、出来高=どれだけ約定したか。
この2つで「伸ばす」か「早めに確保」かを数値で決めるとブレません。
目次
まずは超シンプルに
- 板が薄い方向=価格が走りやすい → 利益“伸ばし”候補
- 厚い売り板が近い=頭を抑えられやすい → “早め利確 or 半分確保”
- 出来高スパイク+長い上ヒゲ=勢い終了サイン → 利確優先
ミニ用語
- スプレッド:最良気配の買いと売りの差。
- 板の壁:同じ価格に大量の指値が並ぶ状態。
- 成行(なりゆき):その時点で最も約定しやすい方法。滑ることがある。
- アイスバーグ:見せかけ少量で、約定すると次々に“隠れ玉”が出てくる注文。
板の見方(30秒の型)
- 最良気配の上下5本を見る(買い×5、売り×5)
- **合計枚数(上5段/下5段)**をざっくり足す
- 売りの壁(例:2,860円に5,000株など)がどれだけ近いか
- スプレッドと気配の更新スピード(速い=勢い)
※ 見せ玉(出したり消したりのフェイク)もあるので、実際に約定した出来高(テープ/歩み値)を必ずセットで確認。
出来高の見方(1分足でOK)
- 伸びる局面:陽線+出来高増 → 次足も続きやすい
- 失速の兆し:上ヒゲ長い+出来高スパイク → 売りぶつけで頭打ち
- 本格転換:支持線割れと同時に出来高増 → 上昇シナリオ終了
利確に効く「3つのシグナル」
① 上がる方向の板が“薄い”
- 例:直上の3段の売り板合計が直下の買い板合計の30%以下
- 行動:伸ばし優先。トレーリングで追い、抵抗帯までは粘る。
- 逆指値:直近押し安値−5円(またはEMA20割れ)に設定。
② 近くに“厚い売り板の壁”
- 例:現値の**+10〜15円以内に5,000株以上**の壁
- 行動:半分利確してリスクを軽く。残りは壁の直前で追加利確 or 突破なら追随。
- 逆指値:壁手前のミニ押し安値割れで撤退。
③ 出来高スパイク+長い上ヒゲ
- 行動:欲張らず即利確(全or半分)。
- 理由:上で売りにぶつけられ、勢いが止まった可能性。
数値ルール(そのまま使える)
- トップ5段の板バランス(IB5)
IB5 = (買い上位5段の枚数 − 売り上位5段の枚数) / (買い + 売り) 例:+0.20以上 → 買い優勢、−0.20以下 → 売り優勢 - “薄い”の基準:直上3段の合計が直下3段の30〜40%以下
- “壁”の基準:同価格帯だけ極端に大きい(周辺の2〜3倍以上)+価格距離が近い(10〜15円以内)
しきい値は銘柄のボラで調整。新興・ボラ大は距離を広めに。
実践手順(エグジット直前の5手)
- 抵抗帯(水平線/価格帯別出来高の山)を確認
- 板の壁がどれだけ近いか(例:+12円先に大きな売り)
- 上3段vs下3段の合計とIB5をざっくり評価
- 出来高:直近3本(1分足)で増加→失速→反転の流れが出ていないか
- 決める:
- 薄い→伸ばす(トレール)
- 壁が近い→半分利確+残りは壁の直前/突破で処理
IF-THEN(そのまま運用)
IF 直上3段の売り合計 ≤ 直下3段の買い合計 × 0.4
THEN 伸ばし優先。トレーリングは直近押し安値−5円
IF 現値+10〜15円に5,000株以上の売り壁
THEN 50%利確。残りは壁−3〜5円に指値、突破したら残りも追随
IF 上ヒゲ長い陽線+出来高スパイクが出現
THEN 直ちに半分以上利確(成行許容)
逆指値の置き方(板前提)
- 成行の逆指値:壁直前で反転したらスピード最優先で逃げる
- 逆指値指値:滑りを抑えるが約定しないことも → バッファを広めに
- “板薄”での注意:逆指値発動時に大きく滑る可能性 → 株数を抑えるか幅にバッファを
注意:見せ玉(フェイク)対策
- 素早く出入りする巨大板は信用しすぎない
- **実際の約定(歩み値)**で「壁が食われているか」を確認
- 何度も壁に当たって減らないなら本物の可能性→早め利確
ミニケース:ボラが大きい銘柄の朝イチ急騰
- +30円以上の一気上げ+直上が薄い → 伸ばしゾーン
- 押し目を作らずに厚い売り壁へ接近 → 半分利確で様子見
- 吸収して出来高を伴って突破 → 残りを引っ張る
よくある失敗→対策
- 板だけ見て出来高を見ない → 歩み値/1分出来高で確認
- “壁”に突撃して反転 → 手前で半分確保、残りは突破確認後
- 伸びる前にビビって全利確 → 先に半分確保→残りはルールで伸ばす
チェックリスト(10秒)
- 直上3段は薄い?厚い?
- 近距離の売り壁は?(+10〜15円以内/サイズは?)
- 1分足の出来高は増加?失速?
- 先行利確 or 伸ばし、どちらのIF-THENに当てはまる?
まとめ
- 板の薄さ=伸びポテンシャル、売り壁=利確ポイント。
- 出来高と組み合わせて数値ルール化すれば、迷いなく実行できます。
- 分割利確+トレーリングと併用で、守りながら伸ばすが現実的になります。
免責:本記事は学習目的の一般情報です。投資判断はご自身の責任で行ってください。
