【第2章】損切り幅は“許容損失額”から逆算する
結論:「どれだけ負けてもいいか」を先に決め、そこから
株数・エントリー・損切り(逆指値)を逆算します。
これだけで、感情に振り回されにくくなります。
目次
なぜ「逆算」なの?
- 相場はコントロールできませんが、1回の損失額はコントロールできます。
- 先に金額の“ふた”を決めておけば、連敗しても口座が生き残るからです。
逆算の公式(これだけ覚えればOK)
前提:
- 総資金=
A(例:100万円) - 1回のリスク%=
r(例:2%=0.02) - エントリー価格=
E - 損切り価格(シナリオ崩壊点)=
S - 1回の許容損失額=
L = A × r - 損切り幅(円)=
D = |E − S|
求めたい株数
理論株数 = L ÷ D
ただし 資金上限 を超えない: 資金で買える最大株数 = A ÷ E
最終株数 = min( L ÷ D , A ÷ E )
(100株単元なら 100の倍数に丸める)
ポイント:“崩壊ポイント(S)”→幅(D)→株数の順で決める。
「SをEの近くに寄せるために根拠のない損切り」を置かないこと。
具体例でスッと理解
例1:低位株でリスクを使い切る
- 資金
A = 1,000,000円、リスクr = 2%→L = 20,000円 - 想定:E=500円、S=480円(D=20円)
- 資金で買える最大株数:
A ÷ E = 1,000,000 ÷ 500 = 2,000株 - 許容損失からの株数:
L ÷ D = 20,000 ÷ 20 = 1,000株 - 最終株数 = min(1,000, 2,000) = 1,000株
→ 損失は最大 1,000株 × 20円 = 20,000円(=2%)。ちょうど使い切り。
例2:高位株は“資金上限”が先に効く(それでOK)
- 想定:E=2,800円、S=2,780円(D=20円)
- 資金上限:
1,000,000 ÷ 2,800 ≈ 357株 - 許容損失からの株数:
20,000 ÷ 20 = 1,000株 - 最終株数 = 357株(単元100株なら300株に丸める)
→ リスク実績:300株 × 20円 = 6,000円(0.6%)。
使い切れなくてもOK。大事なのは上限を超えないこと。
例3:単元100株を意識(丸め方)
- 理論株数が 285株 → 200株か300株に丸める。
- リスク厳守なら小さい方(200株)、
- 大きい方(300株)にするなら、S(損切り価格)を数円手前にしてリスクが2%を超えないよう微調整。
スリッページと手数料を“ちょい足し”で吸収
- 逆指値で滑ることがある → 損切り幅に+2〜5円のバッファを加える。
- 例:本来D=20円 → 実務D=22〜25円で計算しておけば安全側。
逆算ワークフロー(コピペして毎回使う)
- S(崩壊点)を先に決める:線を割ったらおしまい、の価格
- E(エントリー)を想定:入れそうな価格帯
- D = |E−S| を計算(バッファ込)
- L = A×r を計算(例:100万円×2%=2万円)
- 株数 = min(L÷D, A÷E) → (単元に丸め)
- 逆指値 & 分割利確 をセット
- 約定後は変更しない(ルール優先)
そのまま使えるIF-THENルール
IF 株数が計算上 100株未満(単元の都合で)になる
THEN その銘柄は“見送り” or “少額で練習”に切り替える
IF 株数を増やしたいが、リスクが2%を超える
THEN エントリーを有利に待つ or 別銘柄を探す
IF 逆指値到達(成行発動)
THEN 執行を変えない(押し戻りを期待してキャンセルしない)
便利メモ:表計算の式(Excel/スプレッドシート)
- セル例:
A2=総資金,B2=リスク%,C2=エントリー価格,D2=損切り価格,E2=単元(100 or 1)
- 式:
- 許容損失
=A2*B2 - 幅
=ABS(C2-D2) - 理論株数
=(A2*B2)/ABS(C2-D2) - 資金上限株数
=A2/C2 - 最終株数(単元丸め)
- Excel:
=FLOOR(MIN((A2*B2)/ABS(C2-D2),A2/C2),E2) - Sheets:
=FLOOR(MIN((A2*B2)/ABS(C2-D2),A2/C2),E2)
- Excel:
- 許容損失
※ 単元未満株(1株単位)に対応した証券会社なら
E2=1に。
よくあるつまずき→対処
- 「損切りが近すぎてすぐ切られる」
→ 根拠のあるSを選び、終値基準や数ティックの余裕を入れる。 - 「高い銘柄は株数が取れない」
→ 無理に追わず、資金に合う銘柄またはミニ株を使う。 - 「計算が面倒」
→ 上の表計算テンプレをブックマーク。スマホからでもOK。
まとめ
- **1回の損失=資金の2%**を“ふた”にする。
- S(崩壊点)→D(幅)→株数の順で逆算。
- 単元や滑りも見込んで、上限を超えないことだけ守ればOK。
免責:本記事は学習目的の一般情報です。投資判断はご自身の責任で行ってください。
